「1級建築施工管理技士を取ったのに、年収はこのくらいが相場なのか」——資格取得後や転職検討時に、多くの保有者が感じる疑問です。結論から言うと、1級建築施工管理技士保有者だけを対象にした公式の平均年収は公表されていません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、建築施工管理技術者全体の平均年収が679.1万円(令和7年賃金構造基本統計調査ベース)と示されていますが、これは職業分類全体の数字であり、1級・2級や監理技術者かどうかは区別されていません。
本記事では、1級建築施工管理技士保有者が参照できる公的データの読み方、資格が年収に効く制度上の理由、2級・技士補との違い、年収を上げるための現実的な判断順を整理します。
1級建築施工管理技士の年収はいくら?まず押さえるべき数字
1級建築施工管理技士の年収を調べるとき、最初に確認すべきは公的統計が何を測っているかです。
公的統計が示す建築施工管理の平均年収
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)「建築施工管理技術者」によると、全国の平均年収は679.1万円です(出典:令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工)。平均年齢は43.4歳、月間労働時間は166時間。就業者数は令和2年国勢調査ベースで全国242,580人です。関連資格として1級・2級建築施工管理技士、建築士、技術士(建設部門)が挙げられています。
建築施工管理の現場経験者にとって、この679.1万円は最も信頼できる参考値の一つです。ただし、これは「建築施工管理技術者」という職業分類全体の平均であり、1級建築施工管理技士保有者だけの統計ではありません。
この数字を「1級保有者の相場」とは読み取れない理由
job tagの統計データは、厚生労働省編職業分類に対応する職業全体の賃金です。2級建築施工管理技士のみ保有、または資格未取得の現場監督や、主任技術者止まりで監理技術者としての配置経験がない方も含まれる可能性があります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査にも、施工管理技士の級別(1級/2級)や監理技術者かどうかで賃金を分けた公表データはありません。「1級建築施工管理技士の平均年収は○○万円」と書いている記事の多くは、民間調査や推計に基づくものであり、公的統計そのものではない点に注意が必要です。
1級保有者が自分の年収を判断するときは、職業全体の平均を「下限」や「正解」として固定せず、自分が担っている役割、工事規模、業態と照らし合わせるのが現実的です。
1級建築施工管理技士が年収に効く理由(制度の観点)
年収に資格がどう効くかを考えるとき、大切なのは制度上どの役割を担えるかです。1級建築施工管理技士は、建設業法に基づく国家資格であり、第二次検定合格により称号が付与されます(一般財団法人建設業振興基金|1級建築施工管理技術検定)。
監理技術者・主任技術者として担える工事の規模
建築施工管理技術者は、資格取得や実務経験により監理技術者となり、大規模現場への配置が義務付けられる場合があります(job tag「建築施工管理技術者」)。
国土交通省の「よくある問合せ(技術者制度)」(PDF)によると、令和7年2月1日以降の主な金額要件は次のとおりです(いずれも税込み)。
| 要件 | 建築一式工事 | 建築一式以外 |
|---|---|---|
| 監理技術者の配置が必要な下請契約の合計額 | 8,000万円以上 | 5,000万円以上 |
| 専任の監理技術者等が必要な請負代金 | 9,000万円以上 | 4,500万円以上 |
1級建築施工管理技士は、監理技術者の要件を満たす国家資格の一つです。2級では担えない大規模工事の技術責任者として配置されることで、求人票や社内評価で「監理技術者としての経験」が重視される場面が増えます。ただし、資格を持っているだけで自動的に高年収になるわけではなく、実際に監理技術者資格者証の交付や講習修了など、配置に必要な要件を満たしているかが問われます。
特定建設業の営業所技術者等としての位置づけ
1級建築施工管理技士は、対応する建設業の種類について、特定建設業の営業所に置く技術者の資格要件を満たし得ます。会社の許可区分や担当業種によって扱いが異なるため、実際の選任可否は勤務先で確認が必要です。年収への反映も企業の評価制度次第ですが、「現場の施工管理」以外に、会社の技術体制を支える役割を検討できる点は資格の価値の一つです。
資格手当・社内評価は会社ごとに異なる
1級取得時の昇給額や資格手当の有無・金額は、企業ごとに大きく異なり、公的な相場データはありません。「1級だから一律○万円上がる」とは言えません。現職の評価制度を確認し、それでも物足りなければ、1級・監理技術者経験を評価する求人と比較するのが次の一手です。
2級・技士補との違いと、年収への影響の考え方
「2級から1級に上げると年収はいくら上がるか」——検索意図としてよくある問いですが、公式統計が級別の賃金差を示していない以上、一律の差額を断定することはできません。
2級建築施工管理技士では担えない役割
2級建築施工管理技士は、一般建設業の専任技術者や主任技術者として認められますが、監理技術者の要件を満たす国家資格には含まれません。下請合計8,000万円以上(建築一式)の工事で監理技術者が必要な現場では、1級建築施工管理技士等の1級国家資格が求められる場面が多く、担える工事の上限が異なります。
転職時は、「監理技術者として○年以上」「1級建築施工管理技士必須」といった求人ごとの条件と提示年収を確認してください。個々の求人で差が見えても、それを統計上の「1級と2級の差額」とみなすことはできません。
1級建築施工管理技士補(第一次検定合格)の位置づけ
令和3年度から、第一次検定合格で「1級建築施工管理技士補」の称号が付与されます(国土交通省|令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります)。一定の要件を満たせば監理技術者補佐として現場に配置できる制度もありますが、技士補だけでは監理技術者や1級建築施工管理技士にはなれません。年収面では、第二次検定合格(1級技士)まで到達したかどうかが、求人・社内評価で大きく分かれることが多いです。
業態・役割・経験で1級保有者の年収が動く要因
ゼネコン・サブコン・ハウスメーカーなど業態の違い
元請け(ゼネコン)と下請け(サブコン)、ハウスメーカー、リニューアル専門など、業態によって給与体系・残業・賞与の出方が異なります。1級保有者であっても、担当するのが小規模の専門工事ばかりか、大規模ゼネコン現場の監理技術者かで、年収の体感は変わります。公的な業態別平均は限定的なため、自分の経験に近い業態の求人票で年収レンジを確認するのが確実です。
監理技術者としての配置実績と求人での評価
転職では、資格の有無だけでなく「どの規模の工事を、どの役割で担当したか」が評価されます。監理技術者として専任配置された経験、請負9,000万円以上の建築一式工事の責任者経験などは、職務経歴書や面談で具体的に伝える価値があります。
ハローワーク求人賃金が示す転職市場の目安
job tagのハローワーク求人統計では、建築施工管理技術者の求人賃金(月額)は令和6年度全国33.3万円、有効求人倍率は8.56です(建築施工管理技術者)。月額表記であり、賞与・残業を含む年収とは定義が異なります。また、1級・監理技術者条件は含まれません。
1級建築施工管理技士の年収を上げる現実的な方法
年収を上げるには、「資格を取り直す」より担える役割を市場で正しく評価してもらうことが中心になります。
担える役割を求人票の条件に合わせて伝える
職務経歴書や面談では、次を整理して伝えましょう。
- 1級建築施工管理技士の取得年次
- 監理技術者(または監理技術者補佐)としての配置実績
- 担当した工事の種類・請負規模・工期
- 元請け/下請けのどちらの立場で施工管理したか
「1級を持っている」だけでなく、求人が求める役割と経験の一致度を示すことが、年収交渉や転職での評価につながります。
業態・企業規模の見直し
現職の給与体系では1級の価値が十分に反映されない場合、監理技術者を必要とする大規模工事を扱う企業や、1級保有者の配置実績が豊富な業態への転職を検討する余地があります。残業・転勤・現場環境とのトレードオフもセットで確認してください。
転職・条件交渉と求人の比較
年収改善の現実的な手段の一つが、自分の条件に合う求人を複数比較することです。ジョブエッジ施工管理は施工管理に特化した転職支援で、求職者の利用は無料、約20,000件の求人(非公開求人を含む)を扱っています。利用者の年収アップ平均は約200万円ですが、これは平均・実績であり、必ず上がる保証ではありません。
1級建築施工管理技士として、監理技術者経験や担当工事規模が評価される求人を比較したい方は、まず市場の年収レンジを把握することから始めてみてください。
施工管理特化の求人紹介・転職支援
資格と経験が評価される求人を比較
監理技術者経験や担当工事規模も踏まえて、希望条件に合う求人をご案内します。
よい求人を見てみたい公的ベンチマークは厚労省 job tag(職業情報提供サイト)の職業平均です。資格級別(1級/2級)の公式平均ではありません。数値の確認日:2026-08-18。全体表は施工管理の年収と同じ公的出典に基づいています。参照例:建築施工管理技術者(Detail/21)、土木施工管理技術者(Detail/23)、電気技術者(Detail/272)。個別求人の提示額とは切り分けて読んでください。
公的データを読むときの確認ポイント
資格別ページでも、年平均の取り違えが起きやすいです。次だけ押さえてください。
- job tag平均は「職業分類」の平均であり、保有資格そのものの平均年収ではない
- 求人のレンジは資格・役職・残業前提付きかを先に確認する(年収条件)
- 基本給・手当・賞与に分解して現職と比較する(年収内訳)
- 資格ページ(1級建築施工管理技士・2級建築施工管理技士)で制度上の役割を確認してから提示条件を読む
関連する資格
1級建築施工管理技士の資格解説もあわせてご確認ください。

