「造園施工管理技士を持っているのに、年収の相場はいくらなのか」——公園・庭園・緑地の現場を回す有資格者の多くが、転職や条件交渉の前に感じる疑問です。結論から言うと、造園施工管理技士保有者だけを対象にした公式の平均年収は公表されていません。1級・2級・技士補ごとに分けた公的な賃金データもありません。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には、建築施工管理技術者や土木施工管理技術者のように、「造園施工管理技術者」という名称の独立した職業詳細ページはありません(2026-08-15確認)。土木施工管理技術者の職業別名に「造園施工管理技術者」が含まれますが、そこに示される平均年収は土木施工管理職業全体の数字であり、造園専用の相場とは読み取れません。
本記事では、造園施工管理技士が参照できる公的データの読み方と限界、資格が年収に関わりうる制度上の理由、担当工事・業態・配置実績による変動、年収を考える現実的な判断順を整理します。受験資格や試験制度の詳細は資格ページに委譲し、ここでは待遇の読み方に絞ります。
造園施工管理技士の年収はいくら?結論から言うと
造園施工管理技士の年収を調べるとき、最初に確認すべきは統計が何の職業を測っているかです。
job tagに「造園施工管理技術者」の独立職業分類がない
job tagでは、建築施工管理技術者(Detail/21)や土木施工管理技術者(Detail/23)のように、施工管理職が職業名として独立して統計化されている工種があります。一方、造園施工管理については、職業検索で該当する独立ページが見当たりません。
造園施工管理技士の年収を「○○万円が相場」と書いている記事の多くは、民間調査や推計に基づくものです。公的統計そのものではない点に注意が必要です。
土木施工管理技術者の数字を造園の相場と読めない理由
job tagの「土木施工管理技術者」の職業別名欄には、「造園施工管理技術者」が含まれます。同ページの全国平均年収は625万円(令和7年賃金構造基本統計調査ベース)、平均年齢46歳、就業者数263,870人です。
しかし、この625万円は次のような方も含む土木施工管理技術者という職業分類全体の平均です。
- 橋梁・道路・鉄道・ダム・トンネルなどの土木現場監督
- 造園工事の施工管理を担う技術者(職業別名として含まれる)
- 1級・2級土木施工管理技士保有者、または資格未取得の現場監督
造園施工管理技士が担うのは、公園・庭園・緑地・屋上緑化など造園工事業に該当する建設工事です(全国建設研修センター|造園施工管理技術検定)。土木一式のうち植栽工等を除く部分は、造園施工管理の実務経験として認められない場合もあります。つまり、625万円を「造園施工管理技士の平均年収」とは読み取れません。
同ページのハローワーク求人統計(土木施工管理技術者・令和6年度全国)では、求人賃金(月額)34.8万円、有効求人倍率16.3が示されています。これも造園に限定された数字ではなく、月額表記であり賞与・残業を含む年収とは定義が異なります。
参照できる公的ベンチマークと、その限界
公式の「造園施工管理技士平均」がない以上、読者が使えるのは間接的な文脈に限られます。
建設業全体の賃金水準(賃金構造基本統計調査)
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査の概況によると、建設業の正社員・正職員の賃金(男女計)は370.9千円(月額・単位:千円)です。
これは建設業に勤める正社員・正職員全体の月額賃金であり、造園施工管理技士や施工管理職に限定されていません。月額であり、賞与・残業を含む年収そのものでもありません。「建設業の平均より上/下」といった大まかな産業文脈には使えますが、個人の年収の正解値にはなりません。
施工管理全体の年収は別記事で整理
建築・土木・電気など、job tagで職業分類が分かれている施工管理系の公的データや、監理技術者の考え方の共通部分は、施工管理全体の年収に関する記事(施工管理の年収)にまとめています。本記事では造園施工管理に特化し、他工種の数字を造園の相場として転用しません。
造園施工管理技士が担う役割(制度の観点)
年収に資格がどう関わるかを考えるとき、大切なのは制度上どの役割を担えるかです。造園施工管理技士は、建設業法に基づく国家資格で、一般財団法人全国建設研修センターが造園施工管理技術検定を実施しています。
1級・2級・技士補の位置づけ
| 区分 | 称号の例 | ざっくりした役割 |
|---|---|---|
| 1級第一次検定合格 | 1級造園施工管理技士補 | 主任技術者等・監理技術者補佐として配置可能な場合あり |
| 1級第二次検定合格 | 1級造園施工管理技士 | 監理技術者・特定建設業営業所専任技術者となり得る |
| 2級第二次検定合格 | 2級造園施工管理技士 | 一般建設業の主任技術者・営業所専任技術者となり得る |
国土交通省の配置技術者資格一覧(2025/12/18施行)に基づく整理です。ただし、賃金構造基本統計調査やjob tagには、1級/2級・技士補ごとに賃金を分けた公表データはありません。
監理技術者・主任技術者と工事規模
監理技術者制度運用マニュアルによると、指定建設業の監理技術者は一級施工管理技士等の国家資格者に限られます。2級造園施工管理技士は、監理技術者の要件を満たす国家資格には含まれません。
転職市場では、「監理技術者として○年以上」「1級造園施工管理技士必須」といった求人に、2級のみでは応募要件を満たせない場合があります。担える工事の上限が異なることは、求人の年収レンジにも影響し得ますが、それを統計上の「1級と2級の差額」とみなすことはできません。
資格手当・社内評価は会社ごとに異なる
造園施工管理技士取得時の昇給額や資格手当の有無・金額は、企業ごとに大きく異なり、公的な相場データはありません。「1級だから一律○万円上がる」「2級だから○万円」とは言えません。現職の評価制度を確認し、物足りなければ、自分の級・配置実績を評価する求人と比較するのが次の一手です。
年収に関わりうる変動要因
同じ造園施工管理技士でも、年収は複数の要因で幅が出ます。以下は、転職市場や社内評価で差が出やすい論点の整理です。個人の年収が必ずこう動くという因果関係を、公的統計で証明することはできません。
公園・庭園・緑地・屋上緑化など担当工事の違い
造園施工管理は、次のような工事種別によって現場環境・工期・必要な専門知識が異なります。
- 公園工事:植栽・水景・園路・遊戯施設など、公共性の高い案件
- 庭園工事:景石・水景・植栽など、意匠性の高い案件
- 緑地・屋上(壁面)緑化工事:都市緑化・ビル緑化など
- 道路緑化・住宅団地造園など
求人票では「公園整備の監理技術者経験」「ランドスケープ施工管理○年以上」など、担当工事の種類が年収レンジとセットで記載されることがあります。
1級/2級・配置実績と求人での評価
転職では、資格の有無に加え、どの規模の造園工事を、どの役割で担当したかが評価されます。主任技術者として配置された経験、監理技術者(または監理技術者補佐)としての配置実績、担当した工期・請負規模は、職務経歴書や面談で具体的に伝える価値があります。
資格を持っていても、現場監督止まりの経験しかない場合と、主任技術者・監理技術者として複数現場を担った場合では、提示される年収レンジが異なることがあります。それを「1級と2級の公式な年収差」とは読み取れません。
業態・元請/下請・勤務地・経験年数
| 要因 | 考え方のポイント |
|---|---|
| 業態 | ランドスケープ専門サブコン、造園部門を持つゼネコン、公園整備を受託する地域建設会社など、給与体系が異なる |
| 元請/下請 | 元請けの造園現場と、下請け専門工事の現場では裁量・残業の出方が異なることがある |
| 勤務地 | 都市部の公園整備と地方案件では、転勤・生活コストのバランスが変わる |
| 経験年数 | 植栽管理・維持管理まで含む案件、多工种調整の経験など、求人ごとに評価軸が異なる |
公的な「業態別・地域別の造園施工管理平均」は限定的です。自分の経験に近い条件の求人票で、提示年収の下限・上限を並べて確認するのが現実的です。
造園施工管理技士の年収を考える現実的な進め方
公式の「正解の年収」がない以上、年収を考える・上げるための中心は、担える役割を市場で正しく評価してもらうことになります。
職務経歴で伝えるべき項目
面談・書類では、次を整理して伝えましょう。
- 1級/2級造園施工管理技士(または技士補)の取得年次
- 主任技術者・監理技術者(補佐)としての配置実績
- 担当した工事の種類(公園・庭園・緑地・屋上緑化等)・規模・工期
- 元請け/下請けのどちらの立場で施工管理したか
- 維持管理・植栽管理まで含むかどうか
「造園施工管理をやってきた」だけでなく、求人が求める役割・工事内容・経験の一致度を示すことが、年収交渉や転職での評価につながります。
求人票で確認するポイント
- 必須資格(1級必須か、2級可か、監理技術者経験の要否)
- 担当工事のキーワード(公園、庭園、ランドスケープ、屋上緑化、道路緑化など)
- 提示年収のレンジと、残業・転勤・現場手当の扱い
- 造園専門サブコンか、総合建設会社の造園部門か
複数の求人を、条件をそろえたうえで比較してください。級だけを変えた比較は、役割・工事内容が異なると意味をなしません。
転職・条件交渉と求人の比較
年収改善の現実的な手段の一つが、自分の条件に合う求人を複数比較することです。ジョブエッジ施工管理は施工管理に特化した転職支援で、求職者の利用は無料、約20,000件の求人(うち非公開求人を含む)を扱っています。利用者の年収アップ平均は約200万円ですが、これは平均・実績であり、必ず上がる保証ではありません。
造園施工管理技士として、級・配置実績・担当工事が評価される求人を比較したい方は、まず市場の年収レンジを把握することから始めてみてください。
施工管理特化の求人紹介・転職支援
条件を整理して、納得できる転職へ
求人票だけでは分からない条件も、応募前に確認しながら進められます。求職者の利用は無料です。
よい求人を見てみたい公的ベンチマークは厚労省 job tag(職業情報提供サイト)の職業平均です。資格級別(1級/2級)の公式平均ではありません。数値の確認日:2026-08-18。全体表は施工管理の年収と同じ公的出典に基づいています。参照例:建築施工管理技術者(Detail/21)、土木施工管理技術者(Detail/23)、電気技術者(Detail/272)。個別求人の提示額とは切り分けて読んでください。
公的データを読むときの確認ポイント
資格別ページでも、年平均の取り違えが起きやすいです。次だけ押さえてください。
- job tag平均は「職業分類」の平均であり、保有資格そのものの平均年収ではない
- 求人のレンジは資格・役職・残業前提付きかを先に確認する(年収条件)
- 基本給・手当・賞与に分解して現職と比較する(年収内訳)
- 資格ページ(1級造園施工管理技士・2級造園施工管理技士)で制度上の役割を確認してから提示条件を読む
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