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認証工場と指定工場の違い|整備士が確認したい車検の流れと役割

認証工場と指定工場の違いで、先に押さえておきたい判断材料です。

対象:自動車整備士の有資格・経験者 読了目安:15分 執筆・編集:ジョブエッジ整備士編集部
認証工場と指定工場の違い

認証工場と指定工場の違いについて、職場の観点で制度の根拠と求人票・面接で確認したい点を順にまとめます。

この記事で分かること・読み進め先

「認証工場 指定工場」で検索したとき、制度の違いを知りたいのか、職場の選び方まで含めて知りたいのかで、読むべき記事が変わります。本記事は法令上の工場区分と車検の流れに特化しています。

本記事で扱うこと

  • 認証工場・指定工場が「工場の区分」であること(個人の整備士資格ではない)
  • 認証工場と指定工場の定義、包含関係(すべての認証工場が指定ではない)
  • 車検の流れにおける2区分の役割の違い(完成検査の持ち込みの有無)
  • 特定整備制度と認証の関係(概要のみ)
  • 事業形態(ディーラー・専業など)との見分け方
  • 区分だけで待遇を判断しない理由と、転職先で確認したい質問例

別記事で確認すること

次のテーマは、本記事では深掘りしません。判断の次の論点として、それぞれの記事で確認してください。

  • 職場形態の比較(ディーラー・専業・メーカー系など)→ 職場地図
  • 自動車検査員の選任要件・責任自動車検査員の記事
  • 特定整備制度の詳細特定整備の記事
  • 資格等級・登録試験・特殊整備士 → 資格地図
  • 年収・資格手当・働き方・転職の進め方 → 各テーマの記事

認証工場・指定工場は「工場」の区分であり、整備士資格とは別物

認証工場・指定工場は、一級・二級・三級のような整備士の等級でも、整備主任者・検査員などの個人要件でもありません。事業場(工場)に付与される法令上の区分です。

事業場に付与される認証・指定

自動車の特定整備を業として行うには、地方運輸局長の認証が必要です(道路運送車両法第78条第1項)。この認証を受けた工場を「認証工場」といいます。

指定工場も同様に、個人が試験に合格して「取得する資格」ではなく、工場が申請し行政が認めた事業場の区分です。道路運送車両法に基づく制度であり、整備士個人のスキルレベルや等級とは別の軸で整理してください。

整備士資格・特定整備の個人要件とは混同しない

整備士の等級(一級・二級・三級)、整備主任者の選任、自動車検査員の選任など、個人に関わる資格や選任は、工場の認証・指定とは別の話です。

たとえば、電子制御装置整備の整備主任者に選任されるには講習の修了が必要で、一級小型自動車整備士は受講が免除されます。これは個人の資格と事業場の選任の話であり、認証工場か指定工場かとは切り分けて考える必要があります。等級の整理は資格地図、検査員の役割は検査員の記事で扱います。

車検の点検・整備を依頼する場合は認証工場または指定工場であることを確認する

車検に際して、受検手続きだけでなく点検・整備も依頼する場合、一般的には特定整備を伴います。そのため、依頼先が認証工場または指定工場であることを確認する必要があります。

整備士として転職先を見るときも同じです。職場が認証・指定のどちらを受けているかは、車検業務や特定整備の実施可否を読み取る起点になります。

認証工場とは——特定整備事業の認証を受けた事業場

認証工場は、特定整備を業として行うために認証を受けた事業場です。「認証だけ受けていて、指定は受けていない工場」も存在します。

認証の法的根拠と定義

自動車の特定整備を行おうとする場合、地方運輸局長の認証を受けなければなりません(道路運送車両法第78条第1項)。この認証を受けた工場が認証工場です。

認証は、工場が特定整備事業を営むための前提条件であり、整備士個人が持つ資格とは別物です。

認証工場に求められる要件の概要

一定の規模の作業場と作業機械、特定整備に従事する従業員を有する工場に対し、申請により地方運輸局長が自動車特定整備事業の認証をしています。

設備や人員の具体的な数値基準の詳細は、国土交通省の解説ページには記載されていません。全国一律の運用として断定できる項目と、地域運輸局ごとに異なる可能性がある項目は分けて考え、不明な点は転職先で確認してください。

分解整備事業から特定整備事業への移行

令和2年3月以前は、自動車分解整備事業として認証が行われていました。令和2年4月から特定整備制度が始まり、認証の対象事業も特定整備事業へ移行しています。制度の背景は後述の「特定整備制度と認証の関係」で概要を触れます。

指定工場とは——認証工場のうち、民間車検場として指定を受けた事業場

指定工場は、認証工場のうち、さらに指定自動車整備事業の指定を受けた事業場です。一般には「民間車検場」「民間車検工場」とも呼ばれます。

指定の法的根拠と定義

認証工場のうち、設備・技術・管理組織等が一定の基準に適合している工場に対し、申請により地方運輸局長が指定自動車整備事業の指定をしています(道路運送車両法第94条の2第1項)。この指定を受けた工場が指定工場です。

指定は、認証工場であることが前提です。認証を受けていない工場が、いきなり指定工場になることはありません。

認証工場に加えて求められる要件(検査設備・検査員の選任)

指定工場には、認証工場に加えて、次のような要件が求められます。

  • 自動車の整備について一定の基準に適合する設備、技術および管理組織
  • 自動車の検査の設備
  • 自動車の検査を行う者(自動車検査員)の選任

検査員の選任要件や責任の詳細は、本記事の範囲外です。検査員の記事で扱います。

「民間車検場」との呼称

指定工場は、一般に「民間車検場」または「民間車検工場」とも呼ばれます。求人票や口頭で「民間車検場」と書かれていた場合、法令上は指定工場(かつ認証工場)を指していることが多いです。ただし、呼称だけで担当業務の範囲が決まるわけではないため、面接で実際の業務内容を確認してください。

認証工場と指定工場の関係——すべての認証工場が指定工場ではない

指定工場は認証工場の一部です。認証が前提であり、認証だけを受けた工場(認証のみの工場)は存在します。

包含関係の整理(認証 ⊃ 指定)

2つの区分の関係を整理すると、次のようになります。

` ┌─────────────────────────────────────┐ │ 認証工場(全体) │ │ ┌─────────────────────────────┐ │ │ │ 指定工場(認証工場の一部) │ │ │ │ = 民間車検場 │ │ │ └─────────────────────────────┘ │ │ │ │ 認証のみの工場(指定は受けていない) │ └─────────────────────────────────────┘ `

表は横にスクロールできます。
区分位置づけ一般的な呼称
認証工場特定整備事業の認証を受けた事業場認証工場
指定工場認証工場のうち、指定自動車整備事業の指定も受けた事業場民間車検場・民間車検工場
認証のみの工場認証はあるが指定はない事業場(呼称は職場による)

認証のみの工場と指定工場の違いが生じる理由

指定には、認証工場に加えて検査設備の整備や自動車検査員の選任など、追加の要件があります。そのため、特定整備の認証は受けているが、指定の要件を満たしていない(または指定を受けていない)工場が存在します。

「認証工場=車検ができない工場」という理解は誤りです。認証工場でも車検のための点検・整備は受け付けられます。認証のみの工場と指定工場の実務上の大きな違いは、完成検査をどこで受けるか——つまり車検の流れの後半に現れます。

現場で確認できる標識(認証・指定それぞれ)

認証工場では、所定の様式の標識を公衆の見易いところに掲げています。指定工場も、別の様式の標識を見易いところに掲げています。

国土交通省の解説では関東運輸局の例が示されていますが、標識の様式は地域運輸局ごとに異なる場合があります。転職先の見学時に、認証標識と指定標識の有無を目視で確認するのは有効な手がかりです。ただし、標識の掲示と実際の業務範囲が一致しているかは、面接で別途確認してください。

車検の流れで見る、認証工場と指定工場の役割の違い

認証工場と指定工場の最大の実務差は、車検における完成検査の扱いに表れます。

認証工場に車検を依頼した場合の流れ

認証工場に車検を依頼した場合の流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 車両の点検・整備を実施する
  2. 運輸支局、自動車検査登録事務所等(いわゆる「車検場」)に車両を持ち込む
  3. 持ち込み先で完成検査を受ける

認証工場でも、車検のための点検・整備業務は依頼できます。「認証工場では車検ができない」という理解は誤りで、省略できるのは完成検査の持ち込み工程です。

指定工場に車検を依頼した場合の流れ

指定工場に車検を依頼した場合の流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 車両の点検・整備を実施する
  2. 自動車検査員が検査を行う
  3. 保安基準の適合性を証明し、保安基準適合証を交付する
  4. 保安基準適合証を運輸支局、自動車検査登録事務所等に提出する
  5. 車両の持ち込みが省略できる

指定工場では、完成検査を工場内の検査員が担当します。ただし、運輸支局等への書類提出や手数料の手続きなど、車検フローの細部は職場や地域によって異なる場合があります。個別の運用は確認項目として扱ってください。

完成検査の持ち込みが省略できるかどうかの違い

表は横にスクロールできます。
項目認証工場(指定なし)指定工場
点検・整備実施できる実施できる
完成検査の実施場所運輸支局・自動車検査登録事務所等への持ち込みが必要工場内で自動車検査員が実施
持ち込みの省略できない保安基準適合証の提出により省略できる
検査員の選任指定の要件ではない必要

整備士として転職先を選ぶとき、この違いは担当業務に直結します。完成検査まで工場内で完結するか、持ち込み検査の準備や運搬が発生するかは、日々の仕事の内容に影響します。求人票に「車検業務あり」とあっても、認証のみか指定かで具体的な作業は変わるため、面接で確認してください。

特定整備制度と認証の関係(概要)

「なぜ認証が必要なのか」を理解するには、特定整備制度の位置づけを押さえておくと整理しやすくなります。本節は概要のみです。

分解整備から特定整備への改称と施行時期

自動車整備制度は、従来の分解整備の範囲を拡大し、名称を「特定整備」に改め、令和2年4月から新たな制度として開始しました。令和2年3月以前は自動車分解整備事業として認証が行われていました。

認証工場という呼称は、この特定整備事業の認証制度に基づくものです。

特定整備の範囲拡大(電子制御装置整備等)

特定整備では、エンジンやブレーキなどを取り外して行う分解整備に加え、取り外しを伴わなくとも装置の作動に影響を及ぼす整備や改造等(電子制御装置整備)が対象に含まれます。対象装置として、自動運転レベル3以上の自動車に搭載される自動運行装置も追加されています。

電子制御装置整備の詳細や整備主任者の要件は、特定整備の記事で扱います。

個人資格(整備士等級)と事業場選任(整備主任者)の境界

電子制御装置整備の整備主任者に選任されるには、各地方運輸支局長が行う「電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習」の修了が必要です。一級小型自動車整備士の有資格者は受講が免除されます。

ここでも、個人の資格(整備士等級)と事業場の選任(整備主任者)は別の軸です。工場が認証・指定を受けているかと、個人がどの等級を持ち、どの選任を受けているかは、それぞれ独立して確認してください。

事業形態(ディーラー・専業など)と工場区分は別の軸で見る

「ディーラーか専業か」と「認証工場か指定工場か」は、同じ話ではありません。転職先を見るときは、2つの軸を分けて整理してください。

事業形態とは何か

事業形態は、誰の車を・どんな売上構成で整備するかという話です。口語では、次のような分類で語られることが多いです。

  • ディーラー(新車販売店の整備部門)
  • 専業整備工場
  • メーカー系サービス工場
  • カー用品チェーンの整備部門

本記事では、これらの事業形態の比較は主題にしません。ディーラーと専業の違いや、各形態の典型的な業務内容は職場地図で整理しています。

法令上の工場区分とは何か

法令上の工場区分は、事業場が特定整備を行うための認証を受けているか、さらに指定自動車整備事業の指定を受けているかという話です。

認証工場・指定工場の定義と包含関係は、本記事の前半で整理したとおりです。事業形態のラベル(「ディーラー」「専業」など)だけでは、認証・指定の有無は判断できません。

2軸を組み合わせて転職先を見る理由

同一の事業形態のなかでも、認証のみの工場と指定工場が混在します。逆に、指定工場であっても、車検以外の修理・整備の比重が高い職場もあります。

業態名や認証の有無だけでは、担当作業の範囲や車検業務の比重は決まりません。2つの軸を組み合わせて求人票を読み、面接で具体的な業務内容を確認するのが実務的です。

工場区分だけで待遇や働きやすさを判断しない

「指定工場の方が待遇がいい」「認証工場は働きやすい」といった一般論は、転職の判断材料としては当てになりません。

区分から読み取れること・読み取れないこと

工場区分から推測できることと、個別に確認が必要なことは次のとおりです。

区分から読み取れること(制度上の話)

  • 車検の完成検査を工場内で実施できるか(指定か認証のみか)
  • 自動車検査員が選任されているか(指定工場の要件)
  • 特定整備を業として行う認証を受けているか

個別確認が必要なこと

  • 基本給・資格手当・賞与の水準
  • 残業や休出の頻度、繁忙期の有無
  • 担当車種や作業の割合(車検中心か、一般整備中心か)
  • シフト体制や教育制度

区分は確認の起点であり、優劣を判定する軸ではありません。

「修理中心の人は認証工場を」等の断定を避ける理由

ネット上には、「修理が好きなら認証工場、車検が好きなら指定工場」といった職場選びの助言が見られます。しかし、同一の工場区分のなかでも、担当作業の割合は職場ごとに大きく異なります。

指定工場でも一般整備の比重が高い職場はありますし、認証のみの工場でも車検関連の業務が中心の職場はあります。転職の判断は、区分の一般論ではなく、具体的な担当範囲・繁忙期・組織体制を面接や見学で確認するのが確実です。

転職先で確認したい質問例

制度を理解したうえで、求人票や面接では次の項目を確認してください。

工場区分・認証・指定の有無

  • 認証工場の認証を受けていますか。指定工場の指定も受けていますか
  • 認証標識・指定標識は掲示されていますか。掲示と実際の業務範囲は一致していますか
  • 認証・指定の更新時期や、最近の変更はありますか

車検業務の有無と担当範囲

  • 車検業務はありますか。年間どの程度の台数を扱いますか
  • 点検・整備のみですか。完成検査まで担当しますか
  • 認証のみの場合、持ち込み検査の準備や運搬は誰が担当しますか
  • 指定工場の場合、検査員以外の整備士が関わる工程はどこまでですか

検査員の選任・特定整備の実施範囲

  • 自動車検査員は選任されていますか。何名ですか(検査員の要件・責任の詳細は検査員の記事で確認)
  • 特定整備のうち、どの範囲の作業を実際に行っていますか(詳細は特定整備の記事で確認)
  • 電子制御装置整備の業務はありますか。整備主任者は選任されていますか

地域・職場ごとに異なる運用は確認項目として扱う

車検の手続き、標識の様式、運輸支局への提出方法などは、地域運輸局や個別職場の運用によって異なる場合があります。法令上の共通要件と、職場固有の運用は分けて確認してください。「全国どの職場でも同じ」という前提で転職を決めないことが大切です。

あわせて読みたい——工場区分を踏まえた次の確認

認証工場と指定工場の制度上の違いを押さえたら、次は職場形態や個人資格との関係を照らし合わせて、転職先の判断を進めてください。

職場形態と工場区分を照らし合わせる(職場地図)

ディーラー・専業・メーカー系など、事業形態ごとの典型的な業務内容と、認証・指定の組み合わせ方は、職場地図で整理しています。2軸を組み合わせて転職先を見るときの起点にしてください。

個人資格と事業認証の境界を確認する(資格地図)

整備士の等級、登録試験、特殊整備士と、工場の認証・指定を混同しないための整理は、資格地図で確認できます。

検査員・特定整備の詳細は別記事で

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