「電気工事施工管理技士を取ったのに、自分の年収は相場と合っているのか」——電気設備の現場を任されてきた有資格者ほど、転職や条件交渉の前にこの疑問を持ちます。結論から言うと、電気工事施工管理技士保有者だけを対象にした公式の平均年収は公表されていません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)にも「電気工事施工管理技術者」という独立した職業分類はなく、参考にできる公的データは電気技術者全体の平均年収703.9万円(令和7年賃金構造基本統計調査ベース)です。ただしこれは電力会社やメーカー勤務者も含む職業全体の数字であり、電気施工管理職だけの統計ではありません。
本記事では、電気工事施工管理技士の年収を調べるときに押さえるべき公的データの読み方、電気技術者・電気工事士との違い、1級・2級の制度上の位置づけ、年収を上げるための現実的な判断順を整理します。
電気工事施工管理技士の年収はいくら?まず押さえるべき数字
job tagに「電気工事施工管理技術者」の職業統計がない理由
job tagでは、建築施工管理技術者や土木施工管理技術者のように施工管理職が独立した職業名で統計化されている一方、電気工事施工管理技術者という名称の職業分類はありません。電気系の年収データは、主に「電気技術者」「電気工事士」として整理されています。そのため、「電気工事施工管理技士の平均年収は○○万円」と書いている記事の多くは、民間調査や推計に基づくものであり、厚生労働省の職業統計そのものではない点に注意が必要です。
公的統計が示す電気技術者の平均年収
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)「電気技術者」によると、全国の平均年収は703.9万円です。平均年齢は42.1歳、月間労働時間は159時間。就業者数は令和2年国勢調査ベースで全国305,190人です。このページでは、工事・施工に関連する資格として1級・2級電気工事施工管理技士が関連資格に挙げられています。
この数字を「電気工事施工管理技士の相場」とは読み取れない理由
job tagの統計は、厚生労働省編職業分類に対応する「電気技術者」という職業全体の賃金です。勤務先は電力会社、鉄道会社、電気機器メーカーなどが多く、施工管理に従事する者だけに限定されていません。また、賃金構造基本統計調査にも、電気工事施工管理技士の級別や監理技術者かどうかで賃金を分けた公表データはありません。電気技術者全体の平均を正解として固定せず、自分が担っている役割、工事の専門分野、業態と照らし合わせるのが現実的です。
電気工事施工管理技士・電気技術者・電気工事士の違い
三者は名称が似ていても、法令・職務・統計の母集団が異なります。
電気工事施工管理技士(建設業法・施工管理)
電気工事施工管理技術検定は、建設業法に基づく国家試験です(一般財団法人建設業振興基金)。1級・2級の第二次検定に合格すると、それぞれ電気工事施工管理技士の称号が付与されます。職務は、電気工事の施工計画・工程管理・安全管理・品質管理など、現場の施工管理が中心です。
電気技術者(職業統計の母集団)
job tagの「電気技術者」は、発電・送配電・変電設備、制御装置、重電機器の設計・施工・保守など、電気設備全般に関わる技術職の職業分類です。先述の703.9万円は、この広い母集団の平均です。
電気工事士(実作業職の統計)
電気工事士は、配線・分電盤・照明器具の取付など、電気工事の実作業を担う国家資格です。job tagによる平均年収は628.1万円、就業者数は379,510人です。施工管理技士の年収相場として使うことはできません。
| 区分 | 主な根拠法令 | job tagの職業名 | 平均年収(全国) | 記事での扱い |
|---|---|---|---|---|
| 電気工事施工管理技士 | 建設業法 | 独立職業分類なし | 公式の保有者単独平均なし | 本記事の主題 |
| 電気技術者 | 職業分類 | 電気技術者 | 703.9万円 | 参考値。施工管理に限定されない |
| 電気工事士 | 電気工事士法 | 電気工事士 | 628.1万円 | 実作業職。施工管理の相場ではない |
電気主任技術者との役割の違い
電気工作物の工事・維持・運用における保安・監督は電気主任技術者、工事・施工の管理は電気工事施工管理技士と整理されています。両資格を併せて求められることもありますが、職務と統計の母集団が異なるため、電気主任技術者の年収を施工管理技士の相場とみなすことはできません。
電気工事施工管理技士が年収に効く理由(制度の観点)
監理技術者・主任技術者として担える工事の規模
電気工事業も建設業法の対象であり、下請契約の請負代金の合計が一定額を超えると監理技術者の配置が必要になります。国土交通省の「よくある問合せ(技術者制度)」による令和7年2月1日以降の主な金額要件は次のとおりです。
| 要件 | 建築一式工事 | 建築一式以外(電気工事業を含む) |
|---|---|---|
| 監理技術者の配置が必要な下請契約の合計額 | 8,000万円以上 | 5,000万円以上 |
| 専任の監理技術者等が必要な請負代金 | 9,000万円以上 | 4,500万円以上 |
1級電気工事施工管理技士は、電気工事業の監理技術者の資格要件を満たし得る国家資格の一つです。求人票や社内評価では、資格の有無に加えて監理技術者としての配置経験が確認されます。ただし資格を持っているだけで自動的に高年収になるわけではありません。
特定建設業の特定営業所技術者としての位置づけ
1級電気工事施工管理技士は、電気工事業について、特定建設業の営業所に置く特定営業所技術者の資格要件を満たし得ます。実際の選任可否は勤務先で確認が必要です。
資格手当・社内評価は会社ごとに異なる
1級・2級取得時の昇給額や資格手当は、企業ごとに大きく異なり、公的な相場データはありません。
1級・2級・技士補の違い
2級電気工事施工管理技士では担えない役割
2級電気工事施工管理技士は、対応する電気工事業の営業所技術者や主任技術者の資格要件を満たし得ますが、監理技術者の要件を満たす資格には含まれません(2級電気工事施工管理技術検定)。転職時は、求人ごとの条件と提示年収を確認してください。
1級電気工事施工管理技士補の位置づけ
第一次検定合格で「1級電気工事施工管理技士補」の称号が付与されます(1級電気工事施工管理技術検定)。追加条件を満たせば監理技術者補佐として配置できる制度もありますが、技士補だけでは監理技術者や1級電気工事施工管理技士にはなれません。
業態・役割・経験で電気施工管理の年収が動く要因
電気設備工事・ビル設備・プラントなど専門領域の違い
電気施工管理の現場は、ビル設備、受変電設備、データセンター、再エネ関連、プラント・工場の制御盤など、専門領域によって給与体系・残業・転勤の出方が異なります。元請けの総合電気工事会社と、設備専門のサブコン、メーカー系の施工部門でも年収の体感が変わります。
監理技術者としての配置実績と求人での評価
転職では、資格の有無だけでなくどの規模の電気工事を、どの役割で担当したかが評価されます。監理技術者としての配置経験、担当工事の請負規模、ビル・プラント・公共工事のいずれを担ったかなどは、具体的に伝える価値があります。
ハローワーク求人賃金が示す転職市場の目安
job tagでは、電気技術者の求人賃金(月額)は令和6年度全国30.9万円、有効求人倍率は2.68です。参考までに、電気工事士は月額27.6万円・倍率3.8です。いずれも月額表記で、1級・2級・監理技術者条件は含まれません。
電気工事施工管理技士の年収を上げる現実的な方法
担える役割を求人票の条件に合わせて伝える
- 1級/2級電気工事施工管理技士の取得年次
- 監理技術者(または監理技術者補佐)としての配置実績
- 担当した工事の種類(電気設備・弱電・受変電等)・請負規模・工期
- 元請け/下請けのどちらの立場で施工管理したか
- 電気工事士・電気主任技術者など、併せて保有する関連資格
求人が求める役割と経験の一致度を示すことが、年収交渉や転職での評価につながります。
業態・企業規模の見直し
現職で資格の価値が十分に反映されない場合、監理技術者を必要とする大規模電気工事を扱う企業や、配置実績が豊富な業態への転職を検討する余地があります。残業・転勤・現場環境とのトレードオフも確認してください。
転職・条件交渉と求人の比較
ジョブエッジ施工管理は施工管理に特化した転職支援で、求職者の利用は無料、約20,000件の求人(うち非公開求人を含む)を扱っています。利用者の年収アップ平均は約200万円ですが、これは平均・実績であり、必ず上がる保証ではありません。
電気工事施工管理技士として、監理技術者経験や担当工事規模が評価される求人を比較したい方は、まず市場の年収レンジを把握することから始めてみてください。
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よい求人を見てみたい公的ベンチマークは厚労省 job tag(職業情報提供サイト)の職業平均です。資格級別(1級/2級)の公式平均ではありません。数値の確認日:2026-08-18。全体表は施工管理の年収と同じ公的出典に基づいています。参照例:建築施工管理技術者(Detail/21)、土木施工管理技術者(Detail/23)、電気技術者(Detail/272)。個別求人の提示額とは切り分けて読んでください。
公的データを読むときの確認ポイント
資格別ページでも、年平均の取り違えが起きやすいです。次だけ押さえてください。
- job tag平均は「職業分類」の平均であり、保有資格そのものの平均年収ではない
- 求人のレンジは資格・役職・残業前提付きかを先に確認する(年収条件)
- 基本給・手当・賞与に分解して現職と比較する(年収内訳)
- 資格ページ(1級電気工事施工管理技士・2級電気工事施工管理技士)で制度上の役割を確認してから提示条件を読む
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