施工管理の求人で「設計施工一貫」「設計段階から現場が参加」「デザインビルド案件」と書かれていると、設計にも関われる仕事だと感じることがあります。一方で、実際にどの設計段階から参加し、施工管理が何を決めるのかは、求人文だけでは分かりにくい場合があります。
「設計施工」は、契約・発注方式、会社の受注体制、社内の設計・施工連携、求人職務という複数の意味で使われます。施工管理が設計者の代わりになるという意味ではなく、施工性・工程・仮設・調達・品質・安全・原価・変更等の情報を、設計と施工の間でつなぐ役割を、案件ごとに確認する必要があります。
設計職そのものを目指す場合は施工管理から設計職への転職、発注者支援を含むCMは施工管理とCM、ゼネコンでの職務全般はゼネコンへの転職を参照してください。
設計施工案件を含む求人を探す場合は、施工管理の求人一覧で担当業務・資格等を確認できます。
結論|「設計施工」の言葉だけで担当範囲を決めない
設計施工の求人は、次の8軸で確認します。
| 確認軸 | 確認すること |
|---|---|
| 1. 契約・発注方式 | 設計施工一括、詳細設計付、分離、ECI等のどれか |
| 2. 対象設計 | 基本・実施・詳細・施工図等のどこか |
| 3. 関与時期 | 受注前、設計初期、着工前、施工中のどこからか |
| 4. 役割分担 | 発注者、設計者、施工者、CM等の分担 |
| 5. 承認・変更 | 誰が提案・確認・承認し、現場へ反映するか |
| 6. 工事・専門領域 | 工種、用途、規模、新築・改修 |
| 7. 成果物・評価 | 検討資料、図面、工程、原価、品質等 |
| 8. 現場・労働条件 | 配属、現場エリア、内外勤、時間、報酬 |
「一貫体制」があることと、自分が設計へ関与できることは同じではありません。会社に設計部門があっても、施工管理は着工後だけを担当する求人があります。逆に、職種名が施工管理でも、施工性・仮設・工程・見積の検討を設計段階から担う求人もあります。
設計施工一括方式の基本
国土交通省の「公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン」は、事業プロセスのどの範囲をまとめて発注するかに応じて、複数の契約方式を整理しています(国土交通省ガイドライン)。
設計・施工一括発注方式
国交省ガイドラインでは、構造物の構造形式や主要諸元も含めた設計を、施工と一括して発注する方式とされています。一般にデザインビルド方式と呼ばれることがあります。
詳細設計付工事発注方式
構造形式、主要諸元、構造一般図等を発注者側で確定したうえで、施工に必要な詳細設計と施工を一括して発注する方式です。設計・施工一括方式とは、受注者側が担う設計範囲が異なります。
設計段階から施工者が関与する方式
ECI(Early Contractor Involvement)方式は、設計段階から施工者が技術協力を行う方式です。設計と施工を当初から一つの契約で一括する方式とは、契約関係や手続が異なります。
設計と施工を分ける方式
設計者と施工者を別に選定し、設計図書を基に施工を発注する考え方です。この場合も、施工段階の質疑・変更・施工図等で設計者と施工者は連携します。
| 方式 | 受注者側が設計へ関わる範囲の概要 | 確認点 |
|---|---|---|
| 設計施工一括 | 主要諸元等を含む設計と施工 | どの設計段階から、誰が担うか |
| 詳細設計付工事 | 主要条件確定後の詳細設計と施工 | 発注者確定条件と受注者設計の境界 |
| ECI | 設計段階の技術協力後に施工契約へ進む構成 | 技術協力・設計・施工の契約と責任 |
| 設計施工分離 | 設計と施工を別に契約 | 質疑・変更・監理の手順 |
これは公共工事のガイドラインに基づく整理です。民間工事の求人で「設計施工」と書かれている場合、同じ定義・手続とは限りません。応募先の契約と社内分担を確認してください。
施工管理は設計者の代わりではない
設計施工案件では、設計者と施工者が同じ企業・グループに属することがありますが、設計担当と施工管理担当の職務・資格・責任が自動的に一体化するわけではありません。
施工管理側が設計段階へ提供する情報には、次があります。
- 現場条件、施工ヤード、搬入、揚重
- 仮設・施工順序
- 人員、材料、機器の調達
- 工程・検査・引渡し
- 施工性、納まり、他工種との取り合い
- 品質・安全上の確認
- 見積、原価、変更影響
設計側は、要求条件や法令、構造・設備・意匠等を踏まえて設計をまとめます。誰が図面を作成し、誰が確認・承認し、誰が契約上・法令上の責任を負うかは、案件と組織で確認が必要です。
CM方式も設計施工と同じではありません。国土交通省のCM方式活用ガイドラインでは、CMRが発注者側で設計・発注・施工の各段階のマネジメントを行う考え方が示されています(国土交通省「CM方式活用ガイドライン」)。詳しくは施工管理とCMへ委ねます。
設計段階で接続する5領域
1. 施工性
設計図の形を実際の現場で施工できるか、次の条件を整理します。
- 仮設・作業空間
- 搬入・揚重
- 工法・施工順序
- 既存構造・設備との取り合い
- 現場の地形・周辺・稼働条件
- 技能者・機械・材料の確保
「施工できない」と結論だけを伝えず、制約、代替案、品質・工程・原価への影響を設計者と共有します。
2. 工程・調達
設計確定時期は、見積、発注、製作、承認、搬入、施工、検査へ影響します。
- いつまでに何を決める必要があるか
- 長納期品・製作物は何か
- 承認図・施工図の順序
- 設計変更が後工程へ与える影響
- 発注者・設計・施工の確認期限
施工管理経験者は、現場工程だけでなく、設計決定と調達の節目をつないだ経験を示せます。
3. 品質・納まり
- 要求仕様と施工要領の整合
- 材料・機器の性能
- 他工種との納まり
- 試験・検査・モックアップ
- 維持管理・交換のしやすさ
施工側の都合だけで品質条件を変更せず、要求、代替案、影響、承認を記録します。
4. 原価・変更
設計変更は工事費だけでなく、工程、品質、調達、仮設へ影響します。
| 整理すること | 内容 |
|---|---|
| 変更理由 | 要求変更、現場条件、法令・審査、施工性等 |
| 対象 | 図面、仕様、数量、工法、工程 |
| 影響 | 費用、時間、品質、安全、他工種 |
| 代替案 | 条件を満たす選択肢 |
| 承認 | 誰が、いつ、何を承認したか |
「VE」「合理化」等の言葉だけで成果とせず、何を維持し、何を変更したかを説明します。
5. 引渡し・維持管理
完成後の利用・保守も、設計段階で確認できる論点です。
- 検査・試運転
- 取扱説明
- 竣工図・完成図書
- 清掃・点検・交換動線
- 不具合・アフター対応
施工管理での引渡し経験を、設計時に確認すべき条件へ戻して伝えます。
施工段階で確認する情報の流れ
設計施工案件でも、着工後の変更や質疑は発生し得ます。情報が口頭だけで進まないよう、流れを確認します。
- 現場条件・図面・仕様の差を発見
- 対象範囲と施工への影響を整理
- 質疑・提案を設計者・発注者へ提出
- 関係者が内容を確認
- 権限者が承認
- 図面・仕様・工程・原価へ反映
- 現場・協力会社へ周知
- 検査・竣工図書へ記録
求人では、使用する図面管理・承認の仕組み、変更管理の責任者、施工管理が作る成果物を確認します。
社内設計だから省略できるとは限らない
設計部門と施工部門が同じ会社でも、変更の承認・記録が不要になるわけではありません。口頭の近さは連携を速める可能性がありますが、責任分担と最新版管理は別に必要です。
設計施工でも発注者確認は残る
発注者要求、契約、審査、変更内容によって、発注者や関係機関の確認が必要です。「社内で設計できるから自由に変えられる」とは限りません。
施工管理経験を設計施工案件へ翻訳する
設計施工案件への応募では、「設計経験があります」と広く言うより、設計との接点を具体化します。
| 施工管理経験 | 設計施工案件へ示す接点 |
|---|---|
| 施工計画・仮設 | 設計初期に必要な施工条件の提示 |
| 総合工程 | 設計確定・発注・製作・検査の接続 |
| 施工図・納まり | 設計図と現場条件・他工種の調整 |
| 品質・検査 | 要求仕様、施工要領、検査条件の照合 |
| 見積・変更 | 変更理由、費用・工程影響、代替案 |
| 引渡し・アフター | 利用・維持管理条件の設計への反映 |
職務経歴書で分ける
- 自分が作成した資料
- 設計者へ提案した内容
- 発注者・設計者が承認した内容
- 現場で実行・確認した内容
- 結果と記録
設計者の成果を自分の成果として扱わず、調整と意思決定の分担を明確にします。
未経験部分を整理する
施工性検討の経験があっても、基本設計、構造・設備設計、確認申請、設計契約等は別の経験です。設計職を目指す場合は施工管理から設計職への転職で、必要な経験・資格・求人職務を確認してください。
求人・面接を8軸で確認する
1. 契約・発注方式
- 公共・民間のどちらか
- 設計施工一括、詳細設計付、ECI、分離等の構成
- 自社が設計・施工の双方を契約するのか
2. 対象となる設計
- 企画、基本、実施、詳細、施工図のどこか
- 設計は自社、グループ、外部の誰が担うか
3. 施工管理の関与時期
- 見積・技術提案
- 設計初期
- 着工前の施工検討
- 施工中の質疑・変更
- 引渡し
4. 役割分担
- 発注者、設計者、施工者、CM、協力会社
- 設計部門と工事部門
- 本社支援と現場
5. 承認・変更
- 提案、確認、承認の権限
- 図面・仕様の最新版管理
- 費用・工程変更の手順
6. 工事・専門領域
- 工種・用途・規模
- 新築・改修・保全
- 構造・設備等の専門分担
7. 成果物・評価
- 施工性検討書、工程、見積、施工図、変更資料
- 個人とチームの成果区分
- 設計段階と施工段階の評価
8. 現場・労働条件
- 内勤・現場の比率
- 配属拠点・現場エリア
- 出張・転勤
- 時間、休日、報酬
- 業務・就業場所の変更範囲
2024年4月から、募集時に業務と就業場所の変更の範囲等を明示する必要があります(厚生労働省「募集時等に明示すべき事項」)。「設計施工担当」の業務が将来どこまで変わるかも確認します。
自分が担いたい接点を判断する
施工統括を中心にしたい
- 着工後の工程・品質・安全・原価
- 協力会社・現場の統括
- 図面・仕様の現場反映
ゼネコン施工管理の選択肢はゼネコンへの転職で確認できます。
設計施工の調整を担いたい
- 施工性、仮設、工程、調達
- 設計者・発注者との変更調整
- 設計決定から現場実行への情報管理
求人ごとに関与時期と権限を確認します。
設計職へ移りたい
- 設計図書の作成
- 法令・審査
- 意匠・構造・設備等の専門設計
施工管理の延長として自動的に担えるわけではないため、職務と資格を分けます。
発注者支援・CMを担いたい
- 発注者の判断材料
- 設計・発注・施工のマネジメント
- 契約で定めたCM業務
設計施工会社の内部調整とは立場が異なるため、施工管理とCMで境界を確認してください。
求人確認チェックリスト
- [ ] 「設計施工」が契約方式・会社体制・求人職務のどれを指すか確認した
- [ ] 設計施工一括、詳細設計付、ECI等を同一視していない
- [ ] 対象となる設計段階と施工管理の関与時期を確認した
- [ ] 設計者・施工管理・発注者・CM等の分担を確認した
- [ ] 提案・確認・承認の権限を分けた
- [ ] 施工性、工程、品質、原価、変更の成果物を確認した
- [ ] 施工管理経験を設計との接点へ具体化した
- [ ] 設計経験のない範囲を広く見せていない
- [ ] 方式だけで年収・働き方・効率を判断していない
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設計施工案件の施工管理を選ぶときは、「一貫体制」という言葉だけで設計関与を期待せず、対象設計、参加時期、役割分担、承認、成果物を確認することが重要です。自分が深めたいのが施工統括、設計施工調整、設計職、CMのどこかも分けてください。
ジョブエッジ施工管理は、施工管理の有資格・経験者向けの転職支援サービスです。設計施工案件を含む求人を、具体的な担当段階・役割・現場条件で比較できます。
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