第二種衛生管理者免許を持ち、製造業・建設業・医療業などへ転職したい場合、第二種免許だけでは配属予定の事業場で衛生管理者として選任できないことがあります。免許区分を第一種へ移すときに第二種保有者が利用できるのが、特例第一種衛生管理者免許試験です。
結論から言うと、特例第一種は別の免許区分の名称ではなく、第二種免許保有者が第一種衛生管理者免許試験を受けるための試験制度の呼び名です。試験に合格して免許申請を済ませると、交付されるのは第一種衛生管理者免許であり、「特例第一種免許」という免許証はありません。
本記事では、2026-08-24時点で確認した安全衛生技術試験協会(以下、協会)の案内と、厚生労働省の免許申請案内に沿い、受験申請から選任までの段階を分けて整理します。試験日程・手数料・受付期間は改定され得るため、本文では固定しません。受験直前に協会の最新ページで再確認してください。
あわせて確認:第一種と第二種衛生管理者の違い・第二種衛生管理者の転職
特例第一種衛生管理者免許試験とは——第二種から第一種への試験経路
協会の紹介ページは、特例第一種衛生管理者免許試験について、次のとおり説明しています。
> 特例第一種衛生管理者免許試験とは、第二種衛生管理者免許を受けた者が、第一種衛生管理者免許試験を受験する場合です。
つまり、すでに第二種衛生管理者免許を受けていることが前提です。学歴や労働衛生実務年数を事業者証明書で証明する一般の受験資格区分とは、申請の考え方が異なります。
「特例第一種免許」という区分はない
厚生労働省が列挙する労働安全衛生法に基づく免許には、第一種衛生管理者免許・第二種衛生管理者免許・衛生工学衛生管理者免許などがあります。特例第一種衛生管理者免許という名称の免許はありません。
特例第一種で試験に合格したあとに申請するのは、他の第一種合格者と同じ第一種衛生管理者免許の交付申請です。履歴書の資格欄に書くのも、交付を受けた第一種衛生管理者免許です。試験制度名をそのまま免許名と混同しないでください。
業種区分(イ欄・ロ欄)とは別枠
安衛則7条のイ欄・ロ欄は、事業場の業種区分です。特例第一種衛生管理者免許試験は業種区分ではなく、第二種免許保有者が第一種免許を取得するための試験経路です。イ欄に該当する業種では第二種免許だけで選任要件を満たさないため、免許区分として第一種へ移る判断とセットで理解してください。業種表と、免許以外を含む選任資格の詳細は第二種衛生管理者のキャリア|選任できる業種と第一種移行の判断(第二種衛生管理者の転職)で整理しています。
5段階を混同しない——受験から選任まで
第二種から第一種へ進むとき、次の5段階はそれぞれ別の手続きです。いずれか1つを済ませただけでは、他は自動的に完了しません。
| 段階 | 何をするか | 主な提出先・実施主体 | 本記事の扱い |
|---|---|---|---|
| ①特例第一種の受験申請 | 第一種試験(特例)の申請 | 協会の各安全衛生技術センター等 | 本記事の主題(前半) |
| ②試験・合格 | 特例第一種の学科試験を受け、合格基準を満たす | 協会 | 本記事の主題(中盤) |
| ③第一種免許申請 | 試験合格後、第一種衛生管理者免許の交付を申請 | 東京労働局免許証発行センター | 概要(詳細は別記事) |
| ④免許交付 | 申請審査後、第一種衛生管理者免許証が交付される | 東京労働局免許証発行センター | 概要 |
| ⑤事業場での選任 | 事業者が免許保有者を衛生管理者に指名し、所轄監督署へ報告 | 事業者→所轄労働基準監督署 | 境界説明(詳細は別記事) |
①②は協会が実施する試験の段階です。③④は厚生労働省系の免許交付の段階です。⑤は特定の事業場での任用・届出の段階です。「特例第一種に合格した」と言えるのは②までであり、③④を経て初めて第一種免許証が手元にあり、⑤は別途事業者の選任が必要です。
受験資格——第二種衛生管理者免許の保有が前提
特例第一種を受験できるのは、第二種衛生管理者免許を受けた者に限られます(協会 Q-01、2026-08-24確認)。
一般の第一種試験のように、卒業証明書や事業者証明書で受験資格区分を証明する必要はありません。代わりに、申請時に第二種衛生管理者免許証の写しを添付します(次節)。
第二種免許をまだ取得していない場合は、まず第二種試験の受験・合格・免許申請を経る必要があります。学歴・実務年数の区分表や事業者証明の作り方は、衛生管理者の受験資格とは?学歴・実務年数の区分と公式表の照合手順(衛生管理者の受験資格とは?学歴・実務年数の区分と公式表の照合手順)および衛生管理者の実務経験証明|事業者証明書の対象業務と依頼手順(衛生管理者の実務経験証明)で扱います。
受験申請の記入と添付書類
協会の案内(2026-08-24確認)では、特例第一種を受験するときは次を押さえます。
申請書A欄上への「特例」記入
免許試験受験申請書のA欄の上に、「特例」と赤字で記入します。通常の第一種試験申請と区別するための表記です。記入漏れがあると審査で差し戻される可能性があるため、提出前に協会の最新案内と様式を照合してください。
添付するもの・不要なもの
| 書類 | 特例第一種での扱い |
|---|---|
| 第二種衛生管理者免許証の写し | 必要 |
| 受験資格を証する添付書類(卒業証明書・事業者証明書等) | 不要 |
| 現住所確認用の書類 | 免許証の住所と異なる場合など、必要となることがある |
協会は「受験資格を証する添付書類は不要です。ただし、住所変更した場合は、現住所を確認できる郵便物等のコピーを添付してください」と案内しています。第二種免許証の記載住所と現住所が一致しているか、申請前に確認してください。
証明写真や受験手数料、提出先・受付期間など、その他の受験申請共通事項は、協会の第一種・第二種衛生管理者の紹介および各センターの案内で確認してください。本記事では日程・手数料は固定しません。
試験科目と試験範囲(2026-08-24確認)
特例第一種の試験は、第一種・第二種と比べて出題範囲が狭いのが特徴です。第二種試験で既に問われた「有害業務に係るもの以外」の範囲は対象外となり、有害業務に係る範囲に絞られます。
協会表に基づく科目(確認日:2026-08-24)
協会の試験科目表(2026-08-24確認)では、特例第一種は次のとおりです。
| 試験科目 | 出題数(配点) | 備考 |
|---|---|---|
| 労働衛生(有害業務に係るものに限る。) | 10問(80点) | 労働生理は出題されない |
| 関係法令(有害業務に係るものに限る。) | 10問(80点) | 同上 |
| 試験時間 | 13:30~15:30(2時間) | 受験する試験案内でも時刻を確認 |
出題数・配点・試験時間は変更され得ます。受験前に必ず協会ページの最新表を確認してください。第一種(全範囲+労働生理)や第二種(非有害範囲+労働生理)との比較表は、第一種と第二種衛生管理者の違い|選任できる業種と試験範囲で比較(第一種と第二種衛生管理者の違い)で整理しています。
合格基準
協会の案内どおり、学科試験では科目ごと(範囲が分かれているものは範囲ごと)の得点が40%以上で、かつ合計が60%以上であることが合格基準です(2026-08-24確認)。合格しても、この時点ではまだ第一種免許証は手元にありません。
合格の意味と第一種衛生管理者免許の申請
特例第一種の試験に合格すると、「免許試験合格通知書」が交付されます。しかし、合格しただけでは第一種衛生管理者免許証は交付されません。協会の合格後の手続きでも、合格通知書受領後に免許申請書を提出しないと免許証は交付されないと案内されています。
申請する免許は第一種
ここで申請するのは、第一種衛生管理者免許の交付申請です。試験名称に「特例」と付いていても、交付される免許の種類は通常の第一種合格者と同じです。厚生労働省の免許案内が示す手続きに従い、申請書・合格通知書・本人確認書類等を準備します。
申請先は協会ではない
厚生労働省は、協会は試験の実施機関であり免許を発行する機関ではないこと、誤って協会に送付された申請は受け取り拒否または着払い返送となる旨を案内しています。
「免許試験合格通知書」交付者の申請先は、東京労働局免許証発行センターです。申請は簡易書留郵送が原則で、手数料・様式・添付書類は免許試験合格者等のための免許申請書等手続きの手引きと免許申請書の案内の最新版で照合してください。令和8年3月以降、申請書様式が変更されています。
合格後の手続きの詳細、18歳未満合格者の扱い、発送の目安などは、衛生管理者の免許申請|合格後の手続き・必要書類と申請先の確認手順(衛生管理者の免許申請)に委譲します。
第一種免許取得後——選任は別の段階
第一種衛生管理者免許証を受け取っても、自動的にどの事業場の衛生管理者になるわけではありません。事業者が、免許等を有する者のうちから、当該事業場の業務区分に応じて選任し、所轄労働基準監督署へ報告する必要があります(東京労働局の案内)。
第一種免許取得の実務上のメリットは、協会が説明するとおり、すべての業種の事業場で衛生管理者として選任可能になる点です。第二種免許だけでは選任できないイ欄の業種(製造業・建設業・医療業など)へ進む場合、特例第一種経由での第一種取得が検討対象になります。
一方、ロ欄の事業場で第二種のまま選任できるか、転職先で第一種が必要かは、配属予定の事業場の業種で判断します。選任人数・14日以内の選任・届出の詳細は、衛生管理者の選任基準とは?人数・届出・専属と専任の違い(衛生管理者の選任基準)で整理しています。
申請前チェックリスト
特例第一種の受験申請前に、次を確認してください。
| 確認項目 | 内容 | 参照先 |
|---|---|---|
| 第二種免許の保有 | 第二種衛生管理者免許を受けているか | 免許証原本 |
| 申請書の記入 | A欄上に「特例」と赤字で記入したか | 協会 Q-01 |
| 添付書類 | 第二種免許証の写しを添付したか | 協会 Q-01 |
| 住所の一致 | 住所変更がある場合、現住所確認書類が必要か | 協会 Q-01 |
| 不要書類の省略 | 事業者証明書・卒業証明書は不要であることを理解したか | 協会 Q-01 |
| 試験科目・時間 | 最新の科目表・試験時間を確認したか | 協会 Q-01 |
| 日程・手数料 | 受験希望日の受付期間・手数料を最新案内で確認したか | 協会各センター |
| 合格後の流れ | 合格後は第一種免許申請が別途必要であることを理解したか | 厚労省 L-01、menkyo-shinsei |
| 選任との区別 | 免許取得と事業場選任は別段階であることを理解したか | sennin |
よくある質問
特例第一種は第二種免許が無いと受けられませんか?
第二種衛生管理者免許の保有が前提です。通常の第一種試験とは試験範囲が違い、労働生理は課されず有害業務に係る範囲を問います。
特例第一種に合格すればすぐに全業種で選任できますか?
合格後に第一種衛生管理者免許を申請し、交付されてから第一種としての選任が可能になります。合格通知だけで選任要件を満たしたことにはなりません。
通常の第一種試験とどちらを選べばよいですか?
第二種を既に持っているかが分岐です。持っていない人の経路は通常の第一種試験です。科目、時間、申請書類は協会の最新案内で確認してください。
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| 読みたい内容 | 関連記事 | 本記事との境界 |
|---|---|---|
| 第一種・第二種・特例第一種の比較表と試験範囲の全体像 | 第一種と第二種衛生管理者の違い | 三区分の横断比較は委譲。本記事は特例第一種の手続に特化 |
| 第二種で選任できる業種、イ欄・ロ欄、転職判断 | 第二種衛生管理者の転職 | 業種表と転職前の確認は委譲。本記事は試験経路に特化 |
| 一般の受験資格区分・事業者証明 | 衛生管理者の受験資格とは?学歴・実務年数の区分と公式表の照合手順 | 特例以外の受験資格は委譲 |
| 労働衛生実務の事業者証明書 | 衛生管理者の実務経験証明 | 特例第一種では資格証明書類が不要であることとの違いを確認 |
| 合格後の免許申請・申請先・手引き | 衛生管理者の免許申請 | ③④の詳細は委譲。本記事は概要のみ |
| 選任・届出・専属・専任 | 衛生管理者の選任基準 | ⑤の詳細は委譲 |
第二種保有者が第一種へ進む道のりは、特例第一種の受験申請→試験合格→第一種免許申請→免許交付→(必要に応じて)事業場選任と段階を分けて進めてください。各段階の最新情報は、協会と厚生労働省の公式ページで必ず再確認してください。
参照元(一次情報)
情報確認日: 2026-08-24。本一覧は本文が根拠にした一次情報です。試験日程・手数料・様式・統計表は、利用前に各ページの最新版を再確認してください。
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